【COCOAR活用事例】JR宇部線・山口線・小野田線・美祢線スマホスタンプラリー:ARスタンプラリー

今日は、ARスタンプラリーを使ったプロモーション事例があったのでご紹介します。
今回は、事例の紹介だけでなく、もっと上手くいくための方法も考えてみました。
ARをプロモーションに取り入れたいとお考えの方は参考にしてみてくださいね。

ARスタンプラリーで鉄道の利用促進

山口県にあるJRの駅を巡るARスタンプラリー「JR宇部線・山口線・小野田線・美祢線スマホスタンプラリー」が平成29年10月14日(土)から平成30年1月14日(日)の3ヶ月間、宇部市が設置している、JR宇部線利用促進協議会の主催で開催されていました。

「JR宇部線・山口線・小野田線・美祢線スマホスタンプラリー」では、対象路線にある、湯田温泉駅、新山口駅、阿知須駅、草江駅、宇部新川駅、長門本山駅、厚狭駅、美祢駅、於福駅の9つの駅を巡り、各駅に掲示されているポスターのスタンプ駅マークをARアプリ「COCOAR2」でスキャンしてスタンプを集めます。

このスタンプラリーでは、アプリでスタンプを集めるだけでなく、スタンプ獲得時にはご当地路線キャラのフォトフレームが出現し、記念撮影をすることができます。

各駅を巡りスタンプを取得した参加者はプレゼントに応募することができるのですが、獲得スタンプ数で応募方法が異なります。

9駅の内、4駅のスタンプ取得で応募できる「特産品詰め合わせが貰える路線特産品賞」は、スタンプ取得後に表示されるアプリ内の応募フォームから。9駅全てのスタンプを取得すると春の青春18きっぷまたは20,000円分旅行券が貰える「コンプリート賞」は、スタンプの揃った画面を撮影してメールに添付して応募することができました。

スタンプラリー苦戦! その理由は?

「JR宇部線・山口線・小野田線・美祢線スマホスタンプラリー」では、スタンプラリー企画の紹介動画や、対象駅周辺のお店やスポットを紹介する動画を作ったり、facebookで積極的に情報発信するなど、プロモーションに力が入っていました。

しかし、企画の参加者が増えずに苦労していたようで、山口宇部経済新聞の『JR宇部線などを巡る「スタンプラリー」苦戦中 「駆け込み乗車」に期待』という記事の中で報じられています。

12月12日の時点で、1つ以上のスタンプを獲得した参加者は130人。そのうち「路線特産品賞」の応募者数は30人で、「コンプリート賞」は11人と苦戦している。

(JR宇部線などを巡る「スタンプラリー」苦戦中 「駆け込み乗車」に期待 – 山口宇部経済新聞 より抜粋)

130人という参加人数は、乗客の約5%強が参加していることになるので、決して悪くない数字のようにも思えます。

この約5%という数字は、JR宇部線の輸送密度(平均通過人員)が2,525人/日という2016年のデータを元に、2,525人が全て別の人という仮定で計算しました。
実際には同一の人が複数区間を利用することもありますし、日常的にJR宇部線を使っている人はもっと少なくなると思うので、通常の利用客の中でみたら、スタンプラリー参加率はもっと多くなるかもしれません。

しかし、普段対象の路線を使わないような人を集客したり、普段使わない駅まで足を運んでもらうという、”スタンプラリー企画をきっかけとして対象路線の利用促進をする”という目的は上手く果たせていないように思います。

その原因の1つに、スタンプの集めにくさがあったのかもしれません。

対象9駅のうち4駅は宇部線にありますが、宇部線の路線距離は、33.2kmあります。その他の路線も合わせると、スタンプラリー企画の対象区間の路線距離は90km程になります。しかも、スタンプを集めるには同一区間を往復せねばならない場所もあり、このスタンプラリーを回るのはなかなか骨が折れそうです。

12月12日時点でのスタンプラリー参加者は130人。そのうち「路線特産品賞」の応募者数は30人なので参加者の約23%。「コンプリート賞」は11人なので参加者の約23%。景品応募に至った割合の低さが、スタンプ集めの困難さを物語っています。

また、今回路線の客層までは分かりませんでしたが、もしかしたら、企画に興味をもってくれるような対象が潜在的に少なかったということもあるのかもしれません。

苦戦のスタンプラリー企画! 改善策は?

「JR宇部線・山口線・小野田線・美祢線スマホスタンプラリー」は、参加者が増えず苦戦しているようですが、この企画がもっと上手くいくためにはどうすれば良かったのでしょうか?

<参加したいと思ってもらう動機付けの設定を変える>

今回の企画では、専用サイトで対象駅周辺の魅力を発信しているものの、ポスターでは、”スタンプを集めると景品が当たる”ということが前面に出されていて、スタンプラリーの楽しさや各駅を回る魅力があまり伝わっていないように感じます。

※企画公式facebook(ポスターの参考に)

景品を貰うことが参加者の目的となる場合、景品に魅力を感じられなければ参加しませんし、その為に必要な時間や運賃を貰える景品と比較して、コストに見合わなければ参加して貰えないのではないでしょうか。

単純にARスタンプラリーが面白そうだからということで駅を4つ以上回る人は少ないでしょう。

景品獲得を参加の動機付けとしてアピールするのではなく、路線巡りの楽しさを参加の動機付けとする必要があったのではないでしょうか。

例えば、地域のお祭りやイベントと連携して、イベントを巡りながらスタンプを集めるような企画にしたり、地域の魅力を巡る企画にしても、Webサイトで行っているようなスタンプ駅周辺の魅力発信を、きちんとポスターの紙面で表現していれば、もっと企画に興味を持ってもらうことができたのではないでしょうか。

併せて、制作したPR動画をCOCOAR2を使ってポスター上で見ることができるようにしていれば、地域の魅力も伝わり、参加者も増えたのではないかと思います。

<キャンペーン期間を長くする>

動機付けの設定を変えることと併せて、スタンプラリー企画の開催期間を長くすることも有効だと思います。

今回は3ヶ月間のキャンペーンでしたが、例えば、1年間のキャンペーンにすれば、沿線のお祭りやイベントとの連携も取りやすく、キャンペーン自体の認知がもっと拡がることが期待できます。

参加者もゆったりとキャンペーンに参加することができ、お出かけの都合にあわせてスタンプラリーを楽しむこができるのではないでしょうか。

また、COCOAR2のモバイルスタンプラリーなら、表示コンテンツを途中で変更することもできるので、スタンプ獲得時に表示するフォトフレームを季節に合わせ変更すれば、年間通して参加者に驚きや楽しみを提供することができます。

期間を長くすることでコストは増えますが、モバイルスタンプラリーなので、用紙の配布やスタンプ設置のコストはもともとかかりません。

改善策まとめ

参加したいと思ってもらう動機付けの設定を変える

 →景品の良さだけでなく、企画の楽しさやスタンプラリーに参加することの必然性を大事にする。

  スタンプラリーだけでなくポスターでのPRにもARが活用できる。

キャンペーン期間を長くする

 →沿線のお祭りやイベント毎との連携が取りやすい。

  キャンペーン自体の認知が拡がる。

  季節ごとのARコンテンツ提供で参加者の楽しみを増やす。

  期間を長くしても、ARスタンプラリーならコストはさほど増えない。  

 

「参加したいと思ってもらう動機付けの設定を変える」については紙のスタンプラリーでも一緒ですが、COCOAR2を利用したスタンプラリーなら、企画に楽しさを付加することや参加者の理解・関心を高めることができ、長期開催時のコスト負担も軽くすることができます。

AR導入を検討されている方の中には、”ARをつければそれだけで参加者(効果)が増えるんじゃないか”という期待を抱かれている方も多いのですが、実際は、ただARを使えば効果が得られるわけではなく、効果を出すためには、”ARをどうやって使えば、興味・楽しさ・満足を持って貰うことができるか”を考え、企画や紙面に活かすことが大切です。

どうやって作っているの? COCOAR2機能と企画を解説

「JR宇部線・山口線・小野田線・美祢線スマホスタンプラリー」ではスマホアプリ「COCOAR2」のスタンプラリー機能を利用しています。

通常の紙のスタンプラリーでは、参加者へのスタンプカード配布と駅へのスタンプ設置が必要で、配布の手間や設置場所の準備、管理のコストがかかりますが、スマホアプリを使うことで、それらを削減しています。

さらに今回の企画では、各駅に掲示するマーカー用のポスターを共通のものにすることで、ポスター制作のコストも削減しています。

各駅に掲示されているポスターの該当駅に描かれているスタンプ駅マークがマーカーになっているのですが、GPS連動機能を使うことで、該当駅以外の場所ではスキャンしてもスタンプが獲得できないようになっています。

スタンプ獲得時は、マーカーをスキャンするとすぐにスタンプ獲得画面になるのではなく、フォトフレームを表示してからリンクボタンでスタンプ獲得画面に誘導する方法が取られています。

これは、以前にブログで紹介した「ドラゴンボールラン」の事例と同じで、スタンプを集めるだけでなくフォトフレームも一緒に提供することで、参加者の楽しみに繋げています。

COCOAR2では、こうしたモバイルスタンプラリーとフォトフレームを組み合わせて提供することができます。

4駅のスタンプを集める「路線特産品賞」の応募フォームも、COCOAR2の機能を使っています。

スタンプ獲得後の景品交換方法は、応募フォームタイプの他に、見せる引換画面タイプ、待ち受け画像プレゼントタイプを作ることができ、COCOAR2では、企画の説明、スタンプラリー画面、プレゼント応募画面まで、まとめて制作することができます。

※スタンプラリー引換画面サンプル

 

山口宇部経済新聞の記事では、スタンプラリー参加者やスタンプ獲得人数が記載されていましたが、COCOAR2のスタンプラリー機能ならこれらの数値データも取得することができます。

スタンプラリー機能では期間全体の、スタンプ総獲得数、参加者数、コンプリート数の他に、各スタンプのポイント獲得数、コンプリート数、参加ユニーク数を日にち別で集計することができます。

数値データは、期間終了後だけでなく、期間途中で集計することもできるので、参加者の推移やスタンプ獲得状況の把握ができ、キャンペーンの広報や修正に活用することができます。

■関連ページ

・スマホスタンプラリー|JR宇部線・山口線・小野田線・美祢線の9つの駅を巡ろう

・電車利用促進へ、スマホでスタンプラリー | 宇部日報社 このまちメディアWeb 

・JR宇部線などを巡る「スタンプラリー」苦戦中 「駆け込み乗車」に期待 – 山口宇部経済新聞