CM動画から紐解くGoogleの変革と集客のヒント

すっかり年末、あと少しで年越しですね。

最近テレビで見かけることの多くなったGoogleのCM。
特にここ数年、年明けには”Googleといっしょに新しいことにチャレンジしよう”的な内容のCMがヘビーローテーションされています。

来年はどんな内容のCMが流れるのでしょうか?

GoogleのCMから見えること

Googleといえば、世界で約90%のユーザーが使用する検索ツールです。
日本国内においても約70%のユーザーがGoogleを使用しています。

Googleは、AI、自動運転、AR・VR、IoTなど、様々なIT分野でのリーディングカンパニーでもありますし、世間に及ぼす影響力は大きいですよね。

「OK Google」や「近くの○○」検索など、テレビCMを通じてGoogleの機能が一般へ浸透していっているなと感じる今日この頃。

GoogleのCM動画の変化から、これから我々が注目すべきことのヒントが得られるのではないかと思い、Google JapanのオフィシャルYouTubeチャンネルから、過去のCM動画を調査してみました。

調査ファイル:Google CM動画まとめ

※調査日:2017年12月22日
※調査対象:Google JapanオフィシャルYouTubeチャンネルにアップロードされた動画。
※期間:2012年12月28日~2017年12月22日アップロード分
※スマホ・タブレット端末の動画とWebのみの動画は除外しています。

時期別にみるGoogleの変革

2013年:単純検索から意図を理解した検索へ

2012年12月28日の動画が今回の調査対象で一番古い動画なのですが、すでに音声検索が使われています。

音声検索機能は2014年9月にリリースされたiPhoneの「Hey Siri」機能や、2015年3月の動画に登場している「OK Google」機能のCMがテレビで流れ、そのキャッチ―な響きのおかげで認知が広まったように思いますが、意外と古くからあったのですね。

Googleのアプリで音声検索の日本語版がリリースされたのが2009年12月7日なので、この時点で、すでに3年経っていることになります。初期の頃は、とにかく言葉の認識精度が悪く、言った事と全然違う内容が入力されてしまった覚えがあります。

2013年3月の動画までは、「(場所)から(場所)」といった経路検索が使われているものの、単一ワードでの検索や「「(キーワード)␣(キーワード)」」といったや複数ワードでの検索が主で、”モバイルでもインターネットとおなじ検索が出来るよ”といった内容です。

それが2013年7月の動画では、検索意図にあわせてよりカスタマイズされた情報が表示されるようになっています。

「今日の気温」で気象情報を表示して読み上げる。「激辛ラーメン」で周辺の店舗をマップとリストで表示する。「水圧で空を飛ぶ」で検索結果に動画も表示する。など、テキスト情報だけでなく様々な機能と連携した情報が表示されてます。

さらに、2013年11月の動画では、「海遊館の営業時間は」「天保山の高さは」「竹田城まで車で行きたい」「通天閣に車で行きたい」など、文章での音声検索ができるようになっています。文脈を読み解く機能が強化された様子です。

※Google モバイル:さがそう。「冬のお出かけ」 関西篇(2013年11月28日)

2014年:「ここから○○」

2014年3月には、Google Playの動画があります。ドラゴンクエストを題材にした内容が印象的でした。

前年の2013年はGoogleモバイルの動画ばかりなので、それ以外のサービスをCMで流すのは珍しいです。2014年4月にGoogle Playアプリが刷新されているので、リニューアル前のPRとして特別に制作されたのでしょうか。

そして、2014年は動画のタイトルが「Google モバイル」から「Google アプリ」に変更されています。ここには、明確なアプリの変更やサービスの刷新はなく、スマホを取り巻く環境の変化に合わせたものと思われます。

総務省の情報通信白書によれば、前年の2013年にはスマホの世帯普及率が62.6%を超えており、2012年の49.5%から13.1ポイントの伸びを見せています。

機能面では、2014年7月の動画で「ここから上野駅まで電車で」「ここから近いコンビニ」など、従来の検索方法のスタート位置を「ここから」という言葉で指定する検索方法が初めて紹介されています。

※Google アプリ:「滝マニア」篇(2014年7月29日)

これには、2014年7月に英語圏で行われたピジョンアップデートと関連がありそうですが詳細は不明です。ピジョンアップデートではモバイルユーザーへの対応が強化され、検索ユーザーの位置により近い 情報が優先して表示されるようになりました。「ここから」というフレーズで現在地を読み込むアルゴリズムも追加されたのでしょうか。

明確な場所を言わなくても「ここから」といえば現在位置を指定できるようになり、より直感的に検索ができるようになりました。

2014年の動画はこの後ずっと「ここから」検索押しで、「ここから近いホームセンター」で周辺の店舗情報を表示。「ここから近くの日帰り温泉」で周辺の施設情報とマップを表示。「ここから倉敷まで車で」「ここから家まで終電」で経路案内。など、「ここから○○」で様々なことが調べられることをアピールする内容でした。

2015年:「OK Google」「近くの○○」

2015年、年明け企画の動画は「Google さがそう:「踏み出そう。2015」篇」というタイトルで「今年もたくさん失敗できるように。探そう。」がサブテーマです。

内容は、「トランペットの練習方法」や「サッカーの足技」など、新年の目標として新しくチャレンジするようなワードを検索すると、それにまつわる失敗映像が次々と表示されるといったもの。

“失敗映像を事前に見ることで、”失敗を恐れずに勇気を持ってチャレンジしてほしい”という意図なのか、”新しいことにチャレンジしたら失敗しちゃった。でも、チャレンジすることが大事なんだよ”という意図なのか、どちらか分かりませんが、Googleが生活の活力になることを伝えようとしているのだとは思います。

2015年3月の動画で「OK Google」のフレーズが初登場しています。
「OK Google」機能は2014年7月に日本語対応しており、おくればせながら動画登場です。ちなみにiPhoneの「Hey Siri」機能は2014年9月17日に機能追加されています。

上でも触れましたが、この「OK Google」や「Hey Siri」の登場が音声検索や音声操作の認知を広げるのに大きく貢献したように思います。

2015年4月にはAndroid Wearの動画があり、Android Wearでもっと生活が便利になる。というイメージを伝えています。
スマートウォッチ関連はガジェット系の雑誌でもよく取り上げられてたり、注目は高かったように思いますが、スマートフォンのようなには普及しませんでしたね。

その後、2015年の動画は、「OK Google」で色々調べたり操作できることをアピールする内容が続きます。

そんな中、11月の動画で「近くの焼肉」「近くのお寿司」「近くのクリーニング店」「近くのスーパーマーケット」など、「近くの○○」という検索方法が登場します。

※Google アプリ:「近くの焼肉」「近くの寿司」(2015年11月12日)

「近くの○○」は、その前段階では「ここから近くの○○」と言っていた、「ここから」という起点(主語)を指定するフレーズがなくても、周辺の店舗や施設が調べられるようになりました。指定する言葉の数が減ったので、よりスムーズに検索を行えるようになりました。

その他にも、二人同時に話しても認識する、長いフレーズを噛んでも正しく認識する、といった音声認識の精度や、「ドラッグスギ池袋本店で今日こそ歯磨き粉を買うとリマインドして」という長文の音声操作でリマインダーに登録ができるなど、音声検索・音声操作の精度が格段に向上しているようです。

2015年は動画の本数が28本と多いのも特徴で、2014年の11本に対して倍以上と、GoogleがテレビCMに力を入れていることが伺えます。
※キーワードのみの6秒動画は除外。デバイス別に複数パターンあるものはまとめて1本でカウント

2016年:より詳しく。より会話らしく。

2015年までの動画は検索ワードだけを列挙したり、検索後のシーンをシチュエーション映像で補完したりしていて、実際の画面はあまり映りません。
“Googleで色々のできる”とか”Googleが色々なシーンで役に立つ”というイメージ表現を重視しているように思います。

2016年の映像では実際の検索場面や操作方法を理解しやすいような内容が増えています。

たとえば、「トレンチコートのコーデ 篇」と「鎌倉の海が見えるカフェ 篇」では、”画像検索から画像タブをタップすると画像一覧が出る”という操作の具体的な解説をいれて、ユーザーがより理解できるようになっています。

※Google アプリ:「トレンチコートのコーデ」(2016年4月4日)

また、特に2016年後半の動画は「OK Google」と言うシーンを省いたものがほとんどで、検索中の画面や検索後の場面を今までよりも詳しく見せることに注力しています。

これは、音声検索や「OK Google」の存在、様々な検索方法の認知が広まり、ユーザーの習熟度も上がって、具体的にユーザーに使い方をレクチャーするような次のステップに移ったからではないでしょうか。

2016年の動画では、検索方法がより会話らしくなってきているのも特徴です。

年明け企画では、「バレエで美しくジャンプしたい」「リフティングができるようになるには」「ペン回しってどうやってやるの」「デッサンってどうやるの」などのフレーズが紹介されています。

また、4月の動画では「近くの○○」という検索方法の他に、「○○食べたい」や「○○どこ?」といった新しい検索方法も紹介されてきます。

これらの動画は検索後の具体的な描写はありませんが、Googleアプリの操作方法が、ますます人との会話に近づいてきていることを感じさせられます。

2016年7月と8月のGoogleサマーチャレンジの動画の中にはYouTuber(ユーチューバ―)とコラボしているものあります。

YouTuberといえば、2016年に大阪のとある小学校の調査で「なりたい職業ランキング」3位になったことがニュースになり、一般的に認知されるようになりました。
ニュース自体はあまりポジティブな内容ではなかったですが、その後YouTuberが市民権を得て、様々なテレビCMに出演するようになっていきました。
そんなタイミングでのYouTuberとのコラボCMですが、YouTubeはGoogle傘下の企業ですから、ある意味必然だったともいえるでしょう。

2017年:マップ関連機能の活用/Google Home

2017年のGoogle アプリの動画は、内容がマップ関連機能に集中しいている点が特徴です。

特に2017年4月の動画では、通常篇とは別で解説篇を用意し、Webで公開しています。

その中でも、「いっしょにパンケーキが食べたい 篇」「いっしょに水族館へ行きたい 篇」では、店舗・施設情報欄について、詳しく解説されています。

※Google アプリ:いっしょに水族館へ行きたい 解説篇(2017年4月23日)

「名古屋港水族館」と検索すると、名古屋港水族館の施設情報が表示されます。そこから、画像・地図・営業時間など詳しい情報を見ることができます。さらに、電話ボタンでお店に電話をかけたり、経路案内ボタンでお店までのナビを利用することができます。

2017年の動画でもう一つの特徴が、Google Homeの登場です。

2017年5月に対話型インターフェイスアプリとしてGoogle アシスタントが登場しました。Google アシスタントによって、より自然に、話しかけるような形で検索や操作をすることができるようになりました。

そして、このGoogle アシスタントを搭載していて、生活の中でより活用できる、IoTを進めるデバイス(機器)としてGoogle Homeが登場し、2017年10月6日に日本発売されました。

Google Homeはいわゆるスマートスピーカー(AIスピーカー)と言われれるデバイスです。スマートスピーカーは、他に、LINEの「Clova WAVE」やAmazonの「Echo」などが日本で販売されています。

2017年の後半は、このGoogle HomeとGoogle アシスタントの動画が半数以上と比率が高いですが、残りに関してはほとんどマップ関連機能についての内容で、引き続きGoogle アプリでのマップ関連機能に力を入れていることが伺えます。

まとめ:ユーザーレベルの向上とGoogle機能の浸透

GoogleのCM動画を時系列で見ていくと、新しい機能を適宜アピールしながらも、その方法は、イメージを優先したものから、より具体的な内容に変化させていることがわかりました。これは、CMを見ているユーザー(ターゲット)の理解レベル・利用レベルが変化してきたことが原因だと考えられますが、言い換えれば、Googleが段階的にユーザーの理解レベル・利用レベルを引き上げるのに成功したとも考えられます。

今や日本国内のスマホ保有率は全体で約70%、60歳以上でも約50%となっていますが、すべてのユーザーが最新の機能を使いこなしている訳ではありません。

こういったテレビCMを流すことで、理解や情報収集に長けた世代だけでなく、ネットが苦手な世代にも幅広く情報を伝え、ユーザーの拡大と機能の浸透を成功させているのではないでしょうか。

成熟したユーザーに情報発信を:Googleマイビジネス

この1~2年、GoogleがCM動画でアピールし続け、ユーザーへの浸透も進んでいる機能にマップ関連機能があります。

マップ関連機能には、経路検索やナビ機能など移動するための機能の他に、お店を探すための材料となる店舗・施設情報の表示機能があります。

たとえば、「近くのパンケーキ」や「近くの激辛ラーメン」などと検索すると、スマホの位置情報をもとに、周辺の店舗が表示されるのですが、マップ上にポイントで表示される他に、詳細な店舗情報として、お店や料理の写真・住所・電話番号・営業時間などが表示されます。

※Google アプリ:いっしょにパンケーキが食べたい 篇

この店舗情報はGoogleによってWeb上の情報を元に自動で生成されたり、一般ユーザーにより投稿されたものが多いのですが、中には情報が間違ったものや中途半端なものもあります。

この記事を読んでいる方が、もしお店の責任者さんだったら、そんな状態は困ってしまいますよね。(もちろんお客さんの立場でも困ってしまいますが)

この店舗情報欄は、Googleマイビジネスというツールを使って、お店の責任者さんが管理できることをご存知でしょうか。

Googleマイビジネスを使うと、この店舗情報欄の内容を正しい内容に編集したり、不足している情報を追加することができるほか、お店や商品の写真を追加したり、新商品情報やキャンペーン情報を表示させたりと、PRの場として利用することもできます。

また、Googleマイビジネスには、店舗情報が検索された数、写真の表示回数、経路案内や電話が利用された数などの分かる機能があるので、お店の状況を分析し運営に役立てる事もできます。

スマホが普及して、出先で検索するのが当たり前になった今、Google 検索に表示される店舗情報欄はお店選びの情報源になっており、決して無視できる存在ではありません。Googleのある調査では、スマホでお店を探したユーザーの内、その日のうちに実際にお店に足を運ぶ人の割合が約50%という結果が出ています。

また、別の調査では、レストランやホテルの店舗情報欄に、写真と360°パノラマ写真のバーチャルツアーがあると、ユーザーの関心が2倍に上がるという結果が出ています。

購買意欲の高いユーザーをしっかり自分のお店に引き込むために、ぜひGoogleマイビジネスと、360°パノラマ写真のヴァーチャルツアーをご活用ください。

Googleの機能はあらゆる世代に浸透がすすんでいます。
その機能をビジネスに利用しない手はありませんよね!

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